何て言ってるかわからない

見たこと、思ったことを、あくまで自己満に。

昨日から今日までで考えたこと

推しが逮捕されました。今度は冤罪でもなんでもなさそうで。

知った時は何も受け入れられませんでした。高校生だったときからずっと好きで、誰よりもおもしろくて、尊敬する人が、社会のモラルに反することをしていたなんて。どうしても悪い未来を想像してしまって、不安で頭がいっぱいだった。もう彼らのネタが見られない。彼らの話がきけない。彼の携わっていたものが中断される、またはその中から彼や彼らが消える。それ以上に、彼という人間が社会から×を押されてしまったことに、絶望してしまった。彼や彼のファン、彼の仕事仲間の気持ちを考えると、悲しくてしかたなかった。今生きている人に夢中になることは、こんなにもリスクのあることだったのかと打ちのめされました。

しばらくツイッターもテレビも怖くて見られなくなりました。好きじゃないものだらけの世の中で出会えた貴重で大切な世界がなくなってしまうことがとても怖かった。情報を得ると認めたくない現実を受け入れてしまいそうで、遮断しました。考え過ぎないように、教科書を開いて勉強を進めた。でも全然はかどらなかった。

そのうちに友人からLINEがきました。わたしよりもずっと長い間彼らのことを見ていたその友人が、私を心配して連絡をくれました。なんとなく状況報告をしたら、少し先のことを考えられるようになって、年明けに会う約束をしました。一人で考え込んでも吐き出さなければ頭がパンクしてしまう。でも吐き出し方もわからないし、誰かに会う気にもなれない。そんなときにいつも彼女は現れて、私を受け止めてくれる。今回ばかりは、私も彼女を受け止めたいです。ありがとう。

また心がざわざわしてしょうがなくなったとき、母に電話しました。母も彼らのファンだったので、夕方のニュースを見て衝撃を受けたようでした。わたしはそれまでネットやテレビを遮断していたのですが、そこで詳しくニュースの内容を知ることができました。しばらくあーだこーだと感想を言い合っているうちに、ようやく少しずつ今回のことを受け止められるようになったと思います。そこからは多少、ネットの記事を見られるようになりました。

 

以下は、多少の情報を得たわたしが考えたことです。たぶんモラルも糞もないことなので、気分を害しそうだな、と思う人は読まないことをお勧めします。

 

彼は悪いことしたことに違いありません。盗まれた人たちはとても傷ついたかもしれない。いろんな人が言うように、これは償うべきことなんだと思う。それはそうなんだけど、なんというか、彼が犯した罪は彼らしい行動のように思えなくもなくて、憎むことができない。むしろ、不幸や苦悩に埋もれながら生きてきたこと考えると、社会は早めに許してほしいとさえ思ってしまう。

 

彼は人に迷惑をかけることをおかしいくらいに恐れていた。つい先日、彼らのネット番組で、彼は自身の体調不良を心配していた。なんで死にたくないの?と聞かれると、「(突然死ぬと、一緒に仕事してる仲間とかに)迷惑がかかるから」と答えていた。彼のコラムや対談本の中の言葉には、卑屈の隙間に私の知る限り最良のモラルが詰まっていた。そんな彼が20年間、その罪の重さや発覚した際の影響を考えなかったはずがなかった。それをわかっていてもやめられないことだったんだと思う。気弱で自信のない、でも桁外れに行動力のある彼は、自分を制御できずに、物を盗むという罪を重ねてしまったのかもしれない。

しょうがないことだったんだ。やっかいな病気にかかってしまっているのなら、遅かれ早かれいつかは必ず起こることだったんだ。

彼は20年間、時限爆弾を抱えながら生きてきた。そう思うと妙に納得いく部分があった。彼の作るコントは最高に面白くて、大会で優勝したこともある。大喜利もめちゃくちゃ強い。ボキャブラリーが豊富で、平場でのガヤやMCはいつだって最高だった。最高にかっこいい芸人だった。でも、どんなに評価をされても過剰に卑屈なままであった。自分は下の人間だというスタンスを決して覆さなかった。わたしは(過小評価しすぎだろう)と常々思っていたけれど、そんな爆弾を隠し持っていたら、たしかに堂々とできないよなぁ。

 

今回のことで許せないのは、彼の父親と、彼の魅力が世間に十分伝わらなかったことくらいで、やっぱり好きでい続けてしまう。そんな人がたくさんいるんじゃないかなあと思う。それだけ彼はすごい人です。これで終わりになってほしくないんです。

 

はじめは、彼を思い出してしまうなら、もうお笑いなんて見たくないと思った。でもいろいろ考えたら、それはやめたほうがいいと思った。

彼は今どれだけ「申し訳ない」と思っているだろう。普段から自意識に押しつぶされていた彼が、味方のいない空間で、どれだけ苦しんでいるんだろう。それが受けるべき罰だとしても、私は彼に苦しんでほしくない。だから、(たった一人私がどうすることで何の影響もないだろうけど)意地張って無理に離れることはやめた。”お笑いから人が離れる”ことは、苦しいことだろうから。

それに、希望がないわけでない。この先、表舞台に出られなくなっても、名前を出せなくなっても、いつか彼は裏でこっそり、また面白いものを作り出してくれるかもしれない。面白いものにアンテナを張り続けていれば、いつかそれに触れることができるかもしれない。彼は面白いから。

これからは、いつか彼や彼に関わる人が報われること、気づかなくてもいいからいつかまた彼に会えることを願って生きていきます。いくらリスクがあっても、好きなものを好きと思いながら生きていきたいです。